やらなければいけないことが、ある。
締め切りも、わかっている。
それなのに、なぜか、手をつけられない。
「明日やろう」「もう少ししてから」と、後回しにする。
そして、期限の間際になって、慌てて取りかかり、なぜもっと早くやらなかったのかと、後悔する。
「やらなきゃと思っているのに、いつも先延ばししてしまう」
──そう思って、このページを開いたかもしれない。
世の中には、先延ばしを直す方法が、あふれている。
だが、「意志を強く持て」「やる気を出せ」と言われても、直らなかったはずだ。
それは、あなたの意志が、弱いからでは、ない。
先延ばしの本当の原因は、意志ではなく、後回しにできる逃げ道が、あることだからだ。
ここから、私、佐藤健一が、先延ばしを意志の力で克服するのではなく、後回しにする仕組みそのものを引き算する方法を、開示する。
先延ばしするのは、あなたの意志が弱いからではない
先延ばしする自分を、多くの人は、こう責める。
「自分は、怠け者だ」「意志が、弱いんだ」と。
だが、先延ばしは、怠けでは、ない。
よく考えてみてほしい。先延ばししている間も、あなたは、別のことを、している。
部屋の片付けを始めたり、どうでもいい調べ物をしたり、むしろ、せわしなく動いていることさえ、ある。
つまり、先延ばしは、何もしたくない、という怠けでは、ない。本当にやるべきことの、やりたくない気持ちから、一時的に、逃げている行動だ。
やるべきことを前にすると、面倒だ、うまくいかないかもしれない、という不快な気持ちが、湧いてくる。
その不快さから、逃れたくて、人は、別のことに、手を伸ばす。
これが、先延ばしの、正体だ。
だから、自分を「意志が弱い」と責めても、意味がない。
やるべきことは、意志を鍛えることではなく、その逃げ道を、ふさぐことだ。
▼ 今すぐ、できる確認
□ 自分が、何かを先延ばしするとき、その間に何をしているかを、思い出す
□ 本当に何もしていないか、それとも、別のことに逃げているかを、確かめる
たいていは、やるべきこと以外の、何かに逃げている。
あなたは「未来の自分なら、できる」と勘違いしている
先延ばしには、もう一つ、見落とされがちな、心理がある。
それは、先延ばしする瞬間に、人が、無意識に、考えていることだ。
「今日の自分は、気が乗らない。でも、明日の自分なら、きっと、やれるはずだ」
あなたは、後回しにするとき、心のどこかで、こう思っている。未来の自分は、今の自分より、やる気と能力にあふれた、別人だと、勘違いしているのだ。
だが、よく考えてみてほしい。
明日になっても、あなたは、同じあなただ。
今日「面倒だ」と感じたことは、明日の自分も、同じように「面倒だ」と感じる。
だから、明日になっても、あなたは、同じ気持ちで、こう思う。
「今日の自分は、気が乗らない。でも、明後日の自分なら、やれるはずだ」と。
こうして、やるべきことは、未来の自分へ、未来の自分へと、押しつけられ続ける。
そして、期限が来て、もう逃げられなくなった、最後の自分が、泣きながら、片付けることになる。
未来の自分は、今の自分より、優秀な別人では、ない。
同じ面倒くささを抱えた、同じあなただ。この事実に気づくことが、先延ばしを断つ、出発点になる。
▼ 今すぐ、できる問い直し
□ 「明日やろう」と思っていることを、一つ思い浮かべる
□ 「では、明日の自分は、今の自分より、本当にやる気があるのか?」と、問う
答えは、ほぼ間違いなく、「いいえ」だ。
先延ばしを断つ、三つの方法
ここから、後回しにする仕組みそのものを引き算して、先延ばしを断つために、私が実際にやっている、三つの方法を、開示する。
意志を、鍛える話では、ない。
先延ばしできない状況を、先に作ってしまう、具体的な方法だ。
一、「いつやるか」を、その場で、具体的な時間に決める
先延ばしを生む、最大の言葉は、「あとで」だ。
「あとでやる」の「あとで」は、永遠に、来ない。
だから私は、「あとで」を、禁止する。
やるべきことが出てきたら、その場で「明日の朝九時から、やる」と、具体的な時間まで、決めてしまう。
「いつか」ではなく「いつ」を決める。
時間が決まっていないことだけが、先延ばしされる。時間を決めた瞬間、それは、先延ばしできなくなる。
二、やりたくない作業は、最初の一手を「不快でない地点」まで小さくする
先延ばしは、やるべきことの、不快さから逃げる行動だ。
ならば、その最初の一手から、不快さを、取り除けばいい。
「報告書を書く」は、面倒で、不快だ。だから、後回しにしたくなる。
そこで、最初の一手を「報告書のファイルを開いて、日付だけ打つ」まで、小さくする。
これなら、不快さが、ほとんどない。だから、手をつけられる。
不快でなければ、人は、逃げない。
逃げたくならないほど、最初の一手を、小さくする。
三、先延ばししたくなったら「これは、未来の自分も、やりたくない」と気づく
後回しにしたくなったとき、私は、こう、自分に言い聞かせる。
「これを、未来の自分に回しても、未来の自分も、同じように、やりたくない」
明日の自分が、急にやる気になることは、ない。
それなら、いちばん締め切りまで余裕があって、いちばん選択肢が多い「今の自分」が、やるのが、いちばん得だ。
未来の自分に期待するのを、やめる。
そう気づくだけで、「今、やってしまったほうがいい」と、思えるようになる。
▼ 今日、できる実践
□ ① やるべきことが出たら「あとで」を禁止し、その場で具体的な時間を決める
□ ② やりたくない作業は、最初の一手を、不快でない地点まで小さくする
□ ③ 後回ししたくなったら「未来の自分も、やりたくない」と気づく
先延ばしを断つことは、意志を強くすることではない。逃げ道を引き算することだ
ここで、誤解を、解いておきたい。
先延ばしを断つ、と聞くと、こう思うかもしれない。
「結局、強い意志と、根性で、自分を律しろ、ということか」と。
違う。まったく、逆だ。
この媒体で繰り返し伝えてきたことを、もう一度、書く。
引き算とは、根性で、自分を追い込むことでは、ない。先延ばしを断つとは、後回しにできる逃げ道と、未来の自分への期待を、引き算することだ。
意志の力は、長くは続かない。
今日、気合いで先延ばしをこらえても、明日には、その気合いは、切れている。
だから、意志に頼るのを、やめる。
代わりに、先延ばしが、そもそもできない状況を、作る。
「あとで」を禁止し、時間を決める。最初の一手を小さくして、逃げたくならないようにする。
これは、根性論の正反対だ。
意志を強く持たなくても動けるように、逃げ道のほうを、引き算しているのだから。
▼ 今、できる問い直し
□ 「自分は意志が弱いから、先延ばしする」と思っていないかを、確かめる
□ 問題は意志ではなく「あとで」という逃げ道が、あるだけかもしれない、と考える
結論:先延ばしとは、今日の自分の仕事を、明日の自分に押しつけることだ
最後に、ひとつ、覚えておいてほしい。
先延ばしとは、今日の自分が、やりたくない仕事を、明日の自分に、押しつける行為だ。
だが、明日の自分は、今の自分より優秀な別人ではない。同じ面倒くささを抱えた、同じあなただ。
- 先延ばしは、怠けではなく、やりたくない気持ちから逃げる行動だ
- 未来の自分は、今より優秀な別人ではない。同じあなただ
- 断つべきは意志の弱さではなく、後回しにできる逃げ道だ
あなたに足りないのは、強い意志でも、特別なやる気でも、ない。
ただ、「あとで」という逃げ道を、ふさぐことだけだ。
──最後に、ひとつだけ、約束してほしい。
今、あなたが先延ばししていることを、一つだけ、思い浮かべてほしい。
そして、その最初の一手を「いつやるか」、今、具体的な時間で、決めてほしい。
「あとで、ではない。いつやるかを、今、決める」
そう、心の中でつぶやいて、その時間を、決めてほしい。
「あとで」を一つ、具体的な時間に変えたその瞬間が、未来の自分に押しつけ続けてきたあなたを、先延ばしの輪から、抜け出させてくれる。
今日の自分の仕事を、明日の自分に押しつけ続ける時代は、もう、終わりだ。


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