給料日には、確かにあったはずのお金が、月末には、もう、ほとんど残っていない。
大きな買い物をした覚えは、ない。
派手に遊んだ記憶も、ない。
それなのに、お金は、いつのまにか、消えている。
「何に使ったのか、思い出せないのに、お金が貯まらない」
──そう思って、このページを開いたかもしれない。
これは、あなたの収入が少ないからでも、意志が弱いからでも、ない。
なんとなくの出費を、引き算していないだけだ。
そして、その出費は、今夜から、減らせる。
ここから、私、佐藤健一が、なんとなくの出費を引き算して、お金が自然に残る仕組みを作るための、考え方と三つの問いを、開示する。
お金が貯まらないのは、収入が少ないからではない
お金が貯まらないと聞くと、多くの人は、こう考える。
「収入が、もっと多ければ」と。
だが、収入が増えても、貯まらない人は、貯まらない。
給料が上がった分だけ、出ていくお金も、自然に増えていくからだ。
お金が貯まらない、本当の原因は、別のところにある。
それは、月に一度の大きな浪費では、ない。毎日の、なんとなくの、小さな出費の積み重ねだ。
たとえば、一回あたり、数百円の支払い。
仕事帰りに、なんとなく寄った店での買い物。
一つひとつは、小さい。だから、痛みを感じない。
ところが、その数百円が、一日に二回、三回と重なる。
それが、一か月続けば、数万円になる。
一年続けば、何十万円という、まとまった額になる。
大きな出費は、記憶に残る。だから、人は警戒する。
だが、小さな出費は、記憶にすら、残らない。だから、誰も警戒しない。
その「警戒されない小さな出費」こそが、あなたのお金を、静かに、減らし続けている。
▼ 今すぐ、できる確認
□ 携帯の決済履歴か、財布のレシートを、直近の三日分だけ、見返す
□ その中に「何のために買ったか、すぐ思い出せない出費」が、いくつあるかを、数える
思い出せない出費が、あなたのお金が消えている、正体だ。
あなたのお金を静かに奪うのは、「意識されない出費」だ
なんとなくの出費の中でも、特にやっかいなものが、二種類ある。
一つは、毎月、自動で引き落とされる支払いだ。
一度申し込んだまま、ほとんど使っていない、毎月の会費やサービスの料金。
月に数百円から千円ほどなので、明細を見ても、気にならない。
だが、使っていないのに払い続けている支払いが、三つ、四つと重なれば、年間で数万円が、ただ消えていく。
これらは、自動で引き落とされるため、あなたが「払っている」と意識することすら、ない。
意識されないまま、毎月、静かに、お金が出ていく。
もう一つは、その場の埋め合わせのための出費だ。
疲れた時、ストレスがたまった時に、なんとなく買ってしまうもの。
本当に欲しかったわけではなく、ただ、気分を変えたくて、お金を使う。
以前、モノの引き算について書いた。
「いつか使うかもしれない」と思って、モノを買い込んでしまう、という話だ。
お金の話も、根は、まったく同じだ。必要だから買うのではなく、なんとなくの気分で、お金を手放している。
買う前に、一度立ち止まって引き算するだけで、この二種類の出費は、大きく減らせる。
▼ 今すぐ、できる確認
□ 毎月、自動で引き落とされている支払いを、すべて書き出す
□ その一つひとつに「先月、これを実際に使ったか」を、問う
使っていない支払いが、必ず、一つか二つ、見つかる。
なんとなくの出費を引き算する、三つの問い
ここから、お金を使う前に、私が自分に投げている、三つの問いを、開示する。
レジの前で、心の中で、問うだけでいい。
問い一、「これは、店に来る前から、欲しかったものか?」
何かを買おうとした時、まず、こう問う。
「これは、この店に来る前から、欲しいと思っていたものか? それとも、店で見て、今、欲しくなったものか?」
来る前から欲しかったものなら、それは、本当に必要なものだ。買っていい。
だが、店で見て急に欲しくなったものは、ほとんどが、その場の勢いだ。
一日待てば、その「欲しい」は、たいてい、消えている。
問い二、「来月も、これにお金を払いたいと思うか?」
毎月の支払いを見直す時は、こう問う。
「もし今、この支払いがまだ始まっていないとして、来月から新しく、お金を払いたいと思うか?」
「ぜひ払いたい」と思うものは、あなたにとって価値があるから、続ける。
「わざわざ新しく払うほどではない」と感じるものは、惰性で続いているだけだ。今すぐ、止める。
問い三、「これは、時間を生んでいるか? ただの埋め合わせか?」
少し高い出費を迷った時は、こう問う。
「この出費は、自分の時間や心の余裕を生むものか? それとも、ただ気分を埋め合わせるだけのものか?」
たとえば、家事の手間を減らす道具を買うのは、自分の時間を生む出費だ。これは、価値がある。
一方、疲れた気分を紛らわせるためだけの、なんとなくの買い物は、ただの埋め合わせだ。
時間や余裕を生む出費は、残す。埋め合わせるだけの出費は、引き算する。
▼ 今週、できる実践
□ ① 何かを買う前に「店に来る前から欲しかったか?」と問う
□ ② 毎月の支払いに「来月も新しく払いたいか?」と問う
□ ③ 迷った出費に「時間を生むか、ただの埋め合わせか?」と問う
節約は我慢ではない。「本当に使いたいこと」にお金を残すことだ
ここで、誤解を、解いておきたい。
お金を引き算する、と聞くと、こう思うかもしれない。
「欲しいものを全部あきらめて、ひたすら我慢して暮らせということか」と。
違う。まったく、逆だ。
この媒体で繰り返し伝えてきたことを、もう一度、書く。
引き算とは、ただ削ることでは、ない。本当に使いたいことに、お金を残すために、それ以外を、削ることだ。
たとえば、あなたが、年に一度の旅行を、心から楽しみにしているとする。
なんとなくの小さな出費を引き算すれば、その旅行のためのお金が、自然に残る。
つまり、なんとなくの出費を削ることは、楽しみを我慢することでは、ない。
あなたが本当に大切にしている一つのことに、堂々とお金を使うための、準備なのだ。
すべてに少しずつお金を使えば、本当に使いたいことに使う分が、なくなる。
どうでもいい出費を引き算するからこそ、本当に好きなことに、思いきり使える。
▼ 今、できる問い直し
□ 「これにだけは、お金を使いたい」と思える、本当に好きなことを、一つ思い浮かべる
□ なんとなくの出費が、その大切な一つを、邪魔していないかを、考える
結論:お金の余白は、そのまま心の余白になる
最後に、ひとつ、覚えておいてほしい。
なんとなくの出費を引き算して残ったお金は、ただの、数字では、ない。そのお金の余白は、そのまま、あなたの心の余白になる。
使えるお金に、少しでも余裕があると、人は、お金の不安に、追われなくなる。
そして、その心の余裕の中で、本当に大切なことに、お金を使えるようになる。
- お金が貯まらないのは、収入ではなく、なんとなくの出費が原因だ
- あなたのお金を奪うのは、意識されない、小さな出費だ
- 引き算は我慢ではなく、本当に使いたいことにお金を残すことだ
──最後に、ひとつだけ、約束してほしい。
今夜、毎月の支払いを見直して、ほとんど使っていない支払いを、たった一つだけ、見つけてほしい。
そして、それを、止める。
「これには、もう、お金を払わなくていい」
そう、静かにつぶやきながら、止めてほしい。
たった一つの支払いを止めてできた、その小さなお金の余白が、あなたのお金と心が、軽くなっていく、最初の一歩になる。
なんとなくの出費に、お金を奪われ続ける時代は、もう、終わりだ。


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